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 先日、古代ローマ帝国時代の風俗紊乱の書、恋愛詩の達人オウィディウスの著作『アルス・アマトリア(恋の技法)』から痴漢のやり方彼女の作り方を学びましたが
実は『アルス・アマトリア(恋の技法)』は三章構成の最終章が女性向けの内容となっておりまして、彼氏の作り方もレクチャーしてくれています。
オウィディウス先生は男ですので、言うまでもなく男心の方をよくご存じなわけでして、実のところこっちのほうが実用性高いのではないかと思います。
ってゆーか、どう見ても「痴漢のすすめ」な彼女の作り方は正直信用が……。

というわけで、今日はそっちのほう、ローマ時代の古典に学ぶ彼氏の作り方をご紹介しましょう。

とはいえ、このブログの読者の大多数を占めていると思われる男性読者の皆さんも置き去りにはいたしません。
オウィディウス先生のお言葉は、現代人の男心も共感してしまいそうな内容ですので、男性の皆様も2000年の時空を超えてローマ人男性と楽しく心の交流をしていただけるのではないかと思います。


 さてオウィディウス先生は、彼氏を作るために女性の皆様に色々勧めます。
清潔にしろ、毛を処理しろ、似合った髪型にしろ、ベストの角度で自分を見せろなどなど。
ですがこんなことは女性の皆様にとっては今更言われるまでもありますまい。
そして男性の皆様にとって、聞いても面白くも何ともありますまい。
そんな部分は、割愛します。
そういったどうでもいい内容を除去した後に残る、興味深い内容として、オウィディウス先生はこう仰います。

 あなた方は高価な宝石を、色の黒いインド人が緑の海からさがし出す宝石を耳に〔飾って〕重荷としてはならない。金の刺繍をした着物を着て、重そうに重そうに出てくるのもよくない。かくのごとき財宝によってわれわれの心を惹こうとしても、往々〔かえって〕われわれを逃げ出さすことになる。われわれが心を惹かれるのは、さっぱりした美しさである。
(オウィディウス『恋の技法』樋口勝彦役 平凡社ライブラリー 107頁)


男の人は、キラキラピカピカ満載でケバくてゴテゴテしたのにはドン引きするのです。

それからこれ。

 着物についてはなんといおうか。いま、ひだ飾りは必要と思わない。またテュリア産の紫で染められて、羊毛よ、赤くなっていなくてもよい。安い値段の色とりどりの〔着物を着た女〕がたくさん歩き廻っているのに、自分の全財産を身につけて歩く馬鹿がどこにある?……
(同書 109頁)


少し説明しておきますと、ひだ飾りはしばしば派手で高価な細工がされていましたし、テュリア産の紫っていうのは非常に高価な染料でした。
男は、高価な着物とかにそれほど興味ないところが、馬鹿馬鹿しいと思っているということですね。
衣服への過剰な拘りは、プラスになるどころか、マイナスになるのです。

まあ男の子は、女の子のように、きれいだの可愛いだの言われて育ったりしませんからね、そもそも着物とか装飾品に拘り、それを楽しむという意識が育ちにくいんですよ。たぶん。
性欲に駆られて、外面を取り繕うようになったところで、昔から外見を褒められて積極的に身を飾ることを楽しんでいる女の人との間には、周回遅れの差があるわけで、着物やなんや、おしゃれに関する温度差があるのは致し方ありません。

なお、余談ながら、そんな男どもの中にあって、おしゃれに熱心な輩がどんなヤツかについて、オウィディウス先生は論評しています。

 おしゃれと美貌とを鼻にかけている男、また髪をきちんと揃えているような男はさけたまえ。こういう男があなたにいう言葉は、すでに千人もの女にいったことなのだ。かれらの愛はうつり気で、ひとつところにとどまってはいない。……
(同書 124頁)


さすがにこれはいかがなものか。過剰なおしゃれを非難するのは別に良い。けれどローマ人はヒゲをきれいに剃る習慣だったそうですし、女たらしのロクでなしでなくとも、髪くらいはきちんと揃えるんじゃないかと……
さすがに髪を揃えたくらいでこれは言い過ぎでしょう。
非難するなら、カエサルみたいに男なのに無駄毛を全部抜いておしゃれしてるようなヤツだけにするんだ。


……今気づいた。
この男、積極的に女追っかけ回してるけど、たぶん正体は非モテ男だ。
だからオシャレなイケメンへの敵意が抑えられず滲み出てきてるんだ。
よく考えれば詩人とかいう時点でダメ人間臭がするぞ。
だいたい、こいつのレクチャーする女性へのアプローチ方は痴漢みたいなのばっかりだったしな。きっと平たい顔族からエロゲか何かを手に入れて、耽溺して現実と混同してるに違いない。

で、こんなヤツに恋人の作り方を教わるなど、馬鹿馬鹿しい。ここでそうお考えの方もおられるかもしれません。
ですが、こんなヤツだからこそ、女受けするために、女受けの良い言葉でお茶を濁したりせず、男のホントの嗜好を語っているとは申せましょう。


 というわけで、これが古典から明らかになった男の本音であります。

光り物ゴテゴテでケバいのは嫌。
衣服への執着を表に出すのはNG。
さっぱりとして過剰に金のかからぬ美しさこそ至高。

つまり男には、服飾は飾らず、されど汚くならず、さっぱりとした小奇麗さでアプローチをかけましょう。
たちどころに男をゲットですよ。
ほら、現代でもよく言われてるじゃないですか。

真の勝負下着は勝負下着じゃなくて白だって。

それと同じですよ。
2000年間男という生き物は変わっていないようですね。


参考資料
オウィディウス著『恋の技法』樋口勝彦訳 平凡社ライブラリー
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